Pre-Pan:すごろくで遊びながら学ぶ感染症とその対策

COVID-19(Coronavirus Disease 2019)とは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を原因とする新型コロナウイルス感染症のことである。2019年12月に中国で発見されてから、COVID-19は世界中に広まり、2020年1月30日に世界保健機関(WHO)により緊急事態宣言が出されるまでになった。日本でも2020年4月に1日の新型コロナ感染者が700人を超えるまでに増え、医療崩壊を引き起こし、医療従事者の負担が心身ともに増大された。
新型コロナ感染者(感染疑いも含む)や毎年流行するインフルエンザなどの感染者を減少させることで医療従事者の心身の負担だけでなく医療物資などの不足も解消される可能性が示唆された。そこで、人々に新型コロナウイルスを含むウイルスや病原菌の正しい知識や、感染予防策について楽しみながら学べるボードゲーム(すごろく)を考えた。  
このすごろくで遊ぶことでウイルスや病原菌に対する知識が得られるとともに、正しい感染予防策について学ぶことができ、今も続くCOVID-19の流行や毎年流行する感染症を減少させることに繋がる。コロナ禍で多くの人々が手洗いやマスク着用などをするようになったことでインフルエンザの感染者が例年より減少傾向にあることから、このすごろくによって更に予防策を知り、予防意識を高めることでこれから新興・再興感染症が新たに流行したときにも対応できるようになると考えている。

AUTHORS

細川 陽   Akari Hosokawa
スターバックスコーヒー(株)勤務。東京デザインプレックス研究所、グラフィックデザイン&DTPコース修了。好きな飲み物はココア。
戸田 仁美   Hitomi Toda
製薬会社勤務。北海道医療大学薬学部卒。順天堂大学大学院医学研究科修士課程修了。好きな飲み物はビール。

INTRODUCTION

COVID-19(Coronavirus Disease 2019)とは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を原因とする新型コロナウイルス感染症のことです。2019年12月に中華人民共和国湖北省武漢市で発見されてから、2020年1月30日の時点で中国内での感染者が7000人を超え、中国以外でも感染者が18か国で認められ、世界保健機関(WHO)により緊急事態宣言が出されるまでになりました。日本でも2020年1月に国内で1例目が確認され、その3ヶ月後の4月には、1日の新規の新型コロナウイルス感染者数が700人を超えるまでに急激に増えていきました。そのため多くの医療機関はCOVID-19 患者であふれ、病床数、医療物資や医療従事者の人手が不足するなど医療崩壊を引き起こし、医療従事者の負担が心身ともに増大される結果となりました。このような医療従事者の心身の負担を減らすためには新型コロナウイルス感染者(感染疑いも含む)はもちろんのこと、毎年流行するインフルエンザウイルスなどの感染者の来院数を減少させることが必要なのではないかと考えました。来院数を減らすためには、感染者を減らしていくことが必要です。感染が広まった当初は多くの人が神経質になり、手洗いやアルコール消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスを保つなど気を付けていたかと思いますが、最近では慣れてきてしまい気が緩んでいる人が多くなってきているような印象を受けます。特に若い世代では重症化する割合が少ないことから、感染しても大丈夫と考えている人が多いのではないかと考えられます。しかし、デングウイルスのように新型コロナウイルスもADE(Antibody-Dependent Enhancement=抗体依存性感染増強)を引き起こし、一度目の感染で軽症でも二度目の感染で重症化する可能性も示唆されていることを考えると若い世代も気を付けないといけません。そのために人々に新型コロナウイルスを含む病気の原因となるウイルスや細菌についての正しい知識を学び、手洗いやマスクの着用、ソーシャルディスタンスを保つなどの感染予防策の重要性を改めて認識し定着させることが重要だと考えています。また、日本での年齢別の感染者の割合で考えると20-30代の若い世代が多いことからウイルス等の知識や感染予防策を学ぶ方法として、3密を避け、リモートでもできるようなゲームが有効ではないかと考えました。

METHODS

感染症や感染予防策、感染経路及びウイルスや病原菌の特徴を学び、予防意識を高められるようなボードゲーム(すごろく)を考えました。また、接触を回避し、リモートでも遊べるよう、サイコロは各自スマートフォンにダウンロードしたサイコロアプリを使用し、スコアや自分のいるマスを記録するために紙と筆記用具を使用します。
このゲームは人生ゲームのように、サイコロを振り、止まったマスによって、異なるイベントが発生します。人生ゲームではお金を得ながら進み、最下位の1人以外全員がゴールした時点でお金を多く持っている人が勝ちとなりますが、このゲームではお金のかわりに「ライフ」を使用します。「ライフ」を1つ持った状態でスタートし、ゲームの途中で「ライフ」がなくなった場合は、死亡(脱落)となります。
ゲームのマスの種類は以下10種類あります。
・エクササイズマス
・クイズマス
・ワクチンマス(2種類; インフルエンザウイルスワクチン、BCGワクチン)
・Virusマス(3種類;SARS-CoV-2、ノロウイルス、インフルエンザウイルス)
・細菌マス(3種類;マイコプラズマ、溶連菌、結核菌)
エクササイズマスに止まった場合は、その場で腹筋またはスクワットを10回出来たらライフが2増えます。
クイズマスに止まった場合は、サイコロを再度振り出た目の数字が記載されたクイズカードに書かれた感染症対策に関するクイズ(例:3密とは?、正しい手の洗い方は?、など)に正解できたら3マス進めるようになります。
ワクチンマスに止まった場合は、そのワクチンを接種するかを選択できます。接種する場合は、ライフが1減ります。
Virus/細菌マスに止まった場合は、再度サイコロを振り、出た目の数字が記載されたアクションカードに従いライフの増減が発生します。アクションカードは全部で6枚あり、①人が多く集まる場所ではマスクを着用(ライフが1増える)、②手洗いを徹底する(ライフが1増える)、③汚い手で目をこする(ライフが1減る)、④換気する(ライフが1増える)、⑤:適切な抗生剤を服用(ウイルスマスの場合ライフが1減る)、⑥ドアノブなどを80%エタノールで消毒(ノロウイルスマスの場合ライフが1減る)となります。さらに、インフルエンザウイルスマスの場合、インフルワクチン接種していればライフが3増え、接種していない場合はライフが5減ります。同様に、結核菌マスの場合は、BCGワクチン接種している場合はライフが2増え、接種していない場合はライフが3減ります。

DISCUSSION

このゲームで遊ぶことでウイルスや病原体に対する知識が得られるとともに、正しい感染予防策について学び、今も続くCOVID-19の流行や毎年流行する感染症を減少させることに繋がることができると考えています。 今年はインフルエンザの感染者が例年より減少傾向になっています。これはコロナ禍で多くの人々が手洗いやマスク着用などをするようになった結果、インフルエンザの流行が抑制されたためと考えられます。つまり、このすごろくで予防策を知り、予防意識を高めることで、今流行しているウイルス等の感染症の流行を抑えるだけではなく、これから新興・再興感染症が新たに流行したときにも対応できるようになることを期待しています。

REFERENCE